こがねいカイロプラクティック

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2月8日 急激なダイエットをススメない理由

 美容と健康と言えば何かと話題にあがる「ダイエット」。在宅の比率が増えた影響もありますが、飽食の現代では気にせず食べていると太り過ぎてしまうことも多く、ダイエットを試みる人も多いと思います。フィットネスジムだけでなく「ダイエット」を掲げる整体院まで見かける昨今ですが、痩せ方を間違えると健康にも美容にも逆効果です。健康に美しく痩せるならゆっくり痩せた方が賢明です。

急激なダイエットによる体への弊害
 ちまたを見るとダイエットを売りとしたサロンやサプリメントなどの広告があふれています。
 治療院や整体院や整骨院ですらダイエットを宣伝しているところもあります。
 そういったところの広告宣伝を見ると、いわゆるビフォア→アフターなどの写真があって「1カ月でXXkgやせた」などの実績を飾っていたりします。
 太り過ぎは確かに体に悪いですし、見た目も良くは無いかもしれません。体重の増加が腰痛や膝の痛みの一要因である場合もありますし、当院にいらっしゃる来院者の方でも「もう少し痩せたら腰痛も膝の痛みも緩和できるのになー」と思う方もいらっしゃることは確かです。
 とは言っても急激なダイエットはあまりオススメしません。健康や美容の為にせっかく行ったダイエットが原因で体を壊す可能性もあるからです。
 
 よくある広告のビフォアー→アフターの写真ですが、確かに見事に痩せてはいるけれども、なんだか老けてしまったように見えることがありませんか?
 これは、急激に体脂肪は減ったけれども、皮膚の代謝(細胞の入れ替わり)が追いついていないのでたるんでしまったり、ハリがなくなってしまっている為です(中高年の方がダイエットするとこの「たるみ感」はより目立ちます)。
 皮膚の組織には表皮・真皮・皮下組織がありますが、特に真皮はコラーゲンが主体で、このコラーゲンの組織を結合組織といいます。この結合組織は細胞の入れ替わりが遅いのでいきなり皮下組織の脂肪が無くなるとたるんでしまいます。
 
 さらに問題は「見た目」だけではありません。結合組織は体の中にもあり、内臓を吊るしている腸管膜や腎臓を後腹壁に固定している膜も結合組織なので、内臓脂肪が急激になくなるとこういった膜組織もたるんでしまい、内臓の下垂が起こってしまいます。
 胃下垂や腸の下垂が起これば食欲不振や胃もたれ便秘などが起こりやくすなります。腎下垂は医学的には「遊走腎」とも呼ばれますが、尿管や腎血管の屈曲による諸症状(脇腹の鈍痛、腰痛、消化器系の自律神経症状、血尿、タンパク尿、高血圧など)が起こる場合があります。
 このような内臓下垂は急激なダイエットの経験のある痩せ型の人に多いと言われています。
 
 また、急激なダイエットを行うと皮下脂肪が血中に放出されますが、その脂肪を肝臓が溜めこんでしまいダイエットとリバウンドを繰り返すことでお酒を飲む方でなくても脂肪肝→肝炎(非アルコール性脂肪肝炎)となるリスクがあります。

 他にも、女性の生理不順、男性の場合は尿酸値の高い方の痛風発作の誘発。栄養不足による貧血ふらつき。なども起こる危険があります。

 もちろん栄養を充分にとれないことによる微量栄養素の不足から、疲労感、不眠症、めまい、精神的問題や疲労性の肩こりや腰痛なども起こりやすくなります。
 さらにエネルギーの貯蔵庫であるグリコーゲンが消費されてしまうことで脱水症状がおこることもあると言われています(グリコーゲンは多くの水分を含んでいます)。
 
 肥満の方のダイエットは健康の為には必要ですが、急激な減量ではなく、栄養のバランスを保った適度な食事制限や無理の無い運動で1カ月に1kg~2kgを上限として半年で5~6kg減らすことを目標に痩せることで、美容や健康を損なわないダイエットを行いましょう。

Posted by 塩谷直樹